Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本年度は,以下の項目について研究を進めた. 1.バッチ式熱水実験装置を用いて,インド洋KAIREI熱水フィールドから採取された始原的な生態系「HyperSLiME」の一次生産を担う好温・好圧メタン菌の高温・高圧培養法を開発し,その培養実験を行った.その結果,これらのメタン菌がKAIREIフィールドのin-situ圧力条件下において,これまで報告されているどの生物よりも高温で活動できることが明らかとなった.また,これらのメタン菌の生成するメタンの炭素同位体が,メタン生成反応の自由エネルギーに応じて変化することがわかった.さらに,本装置では金バッグを用いて一般的な熱水条件である350□,500気圧にて海水とかんらん石の反応観察を行った.その結果,当該温度条件ではかんらん石は安定であり,蛇紋石化作用およびそれに伴う水素の発生はかなり限定されたものとなることがわかった.このことは,かんらん岩の関与する熱水系においては,比較的低温のリチャージゾーンが水素の発生に重要な役割を果たしている可能性を示唆する. 2.始原的な生態系「HyperSLiME」が現在も存在する中央インド洋海嶺KAKREI熱水フィールドにおいてサンプリングされた斑レイ岩,ドレライト,玄武岩を岩石学的,地球化学的,および熱力学的に解析し,HyperSLiMEを支える水-岩石反応の解明を進めた.その結果,KAIREI熱水の起源はマントルかんらん岩の蛇紋石化ではなく,トロクトライト(かんらん石に富んだ斑レイ岩)の蛇紋石化と一般的な玄武岩-水反応が混合したものであることが示唆された.この結果は,従来マントルかんらん岩の熱水反応のみに注目されていた水素発生型熱水系が,実際には多様な起源を持つことを示している.さらに,KAIREI熱水フィールドはコマチアイトと玄武岩からなる始生代海洋地殻における熱水活動を考察するための重要な手掛かりとなる可能性がある.
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