パイロクロア格子系酸化物における幾何学的フラストレーションと機能性の発現
Project/Area Number |
05J08499
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橘 信 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 金属-絶縁体転移 / 巨大磁気抵抗効果 / 幾何学的フラストレーション |
Research Abstract |
遷移金属酸化物や硫化物において、スピン、電荷、軌道、分極などの自由度の状態を制御することにより、特異な電子物性の本質を解明し、機能的な性質の発現を試みた。まず、パイロクロア格子(正四面体のネットワーク構造)を有するパイロクロア酸化物においては、反強磁性スピンの幾何学的フラストレーションにより、特異な基底状態が現れることが知られている。これまでの多くの研究は、絶縁体において局在したスピンの振る舞いを調べているが、このようなスピンが金属中において遍歴するとさらに特異な状態が現れることが期待できる。このような観点から、金属-絶縁体転移を示すパイロクロア型Y_<2-x>Bi_xRu_2O_7において、低温の振る舞いを系統的に調べた結果、金属が絶縁体に近づくと、電子の有効質量とスピンゆらぎが臨界的に増加することを発見した。これにより、d電子系における重い電子挙動の起源について重要な知見をもたらした。次に、スピネル型の結晶構造をもち、巨大磁気抵抗効果を示すFe_<1-x>Cu_xCr_2S_4について、磁気相転移付近の挙動を詳細に調べた結果、この物質ではスピン、電荷、および軌道の自由度が密接に相互作用していることを明らかにした。次に、強誘電性と磁性が共存するYMnO_3について、非常に良質な単結晶を育成し、磁気相転移の臨界現象を詳細に調べた結果、この相転移のユニバーサリィーは以前に報告されているものとは異なることを明らかにした。さらに、この結果から強誘電性を示す結晶格子の状態について重要な知見を得た。次に、複雑に競合しているスピンの相互作用の結果、強誘電性と磁性が共存するRMn_2O_5(R=希土類)について、良質な単結晶を育成し、磁気転移温度および強誘電転移温度を決定し、さらに放射光X線回折から精密な構造パラメーターを得た。結果、相転移の挙動は構造パラメーターと密接な関係があることを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)