Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでC型肝炎ウイルス(HCV)の感染に関与する多くの受容体候補分子が報告されているが、その役割は十分に解明されていない。また、限定された細胞株でのみ複製可能なHCVの増殖系(JFH1株)が確立されたが、未だ臨床サンプルからHCVを分離できる培養細胞系はない。そこで、HCVエンベロープ蛋白質を一過性に水庖性口内炎ウイルス(VSV)に被らせたシュードタイプVSV(HCVpv)や、その遺伝子をゲノムに組み込んだ組換えVSV(HCVrv)を作製し、HCVの感染機構を解析した。各種遺伝子型のHCVエンベロープ蛋白質をもつHCVpvとHCVrvを各種動物細胞で作製し、ウイルス粒子の性状と感染性を解析した。また、グルコシダーゼの阻害剤であるDeoxynojirimycin(DNJ)とマンノシダーゼの阻害剤であるDeoxymannojirimycin(DMJ)を用いて、HCVエンベロープ蛋白質の糖鎖修飾の感染性に及ぼす影響を検討した。HCVrvはHCVpvと同様に、293T細胞やHuh7細胞で作製するとHuh7細胞に高い感染性を示すが、BHK細胞やHeLa細胞では感染性を示すウイルスは回収できなかった。HCVpvやHCVrvはhCD81やE2エンベロープ蛋白質に対する抗体やC型肝炎患者血清で中和された。また、Huh7細胞やHep3B細胞ではHCVrvの感染の拡大が観察されたが、他の細胞では二次感染は観察されなかった。小胞体でハイマンノース型の糖鎖合成を阻害するDNJ処理により、HCVrvの感染性は濃度依存的に減少した。一方、ゴルジ装置でマンノースのトリミングを阻害するDMJ処理では感染性の減少は認められなかった。JFH1株の感染も同様の薬剤感受性を示した。HCVpvやHCVrvのHuh7細胞への感染には、これまでに報告されているシュードタイプレトロウイルスやJFH1株と同様に、エンベロープ蛋白質のハイマンノース型の糖鎖構造が重要であることが示唆された。シュードタイプウイルスやJFH1株と比べ、HCVrvは様々な細胞でウイルスを作製できる利点があるため、産生細胞に依存したウイルスの感染性の検討が可能である。
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Journal of Virology 81
Pages: 8601-8612
Journal of Virology 80
Pages: 11265-73
Biochemical and Biophysical Research Communications 340
Pages: 200-208