Project/Area Number |
05J09724
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 美和 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 慢性ストレス / フルオキセチン / うつ病 / 海馬 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
私は、うつ病患者において海馬で萎縮が認められることに着目し、うつ病発症原因のひとつと考えられる慢性ストレスを負荷したマウスの海馬において変動する遺伝子群を網羅的に解析し、慢性ストレスにより惹起される海馬の可塑性を規定する因子の同定を試みている。本研究では、ストレスに脆弱とされるC57BL/6Jオス12週齢マウスを用い、特に海馬の神経回路形成や可塑性に関与すると考えられる歯状回由来mRNAを用いて、コントロールマウスに対するストレス負荷マウスの遺伝子発現変化をマイクロアレイ法で解析した。その結果、ストレス負荷マウス海馬歯状回における発現レベルがコントロールのそれに比べて1.5倍以上高く、かつコントロール間で発現変動が見られなかった遺伝子143個を検出した。 マイクロアレイ法により大きな変化が見られた遺伝子についてreal time RT-PCR法、in situハイブリダイゼーション法を行い、その再現性について検討したところ、hcsrgl遺伝子がストレス負荷により発現抑制されていることがわかった。さらに、抗うつ薬フルオキセチン投与マウスでは、慢性ストレス負荷を行ってもhcsrgl遺伝子に発現抑制が見られないことをin situハイブリダイゼーション法により確認した。以上のhcsrglの変化は、歯状回を含む海馬全体で起こるものであったが、大脳皮質での発現変動は確認されなかった。さらに、海馬においてもDentate gyrus, CA3を含む部位において優位な減少を示したが、そのほかCA1などでの有意な変動は見られなかった。 この、hcsrg1遺伝子は、サブフアミリーに遺伝性痴呆の原因遺伝子としての報告があるなど、精神疾患の原因遺伝子として何らかの寄与をもたらしている可能性が考えられる。ストレス負荷によるhcsrg1遺伝子の発現変動は、海馬特有のものであり、この因子が慢性ストレス負荷により惹起される海馬の構造変化に強く関与する因子であることを認めた。
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