17世紀フランスにおける反ジャンセニスム:レオナール・ド・マランデの論争から
Project/Area Number |
05J10177
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
御園 敬介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ジャンセニスム / 反ジェンセニスム / ポール・ロワイヤル / 聖職者会議 / フランス17世紀 / レオナール・ド・マランデ / フランソワ・ボスケ / 小勅書 / 反ジャンセニスム / 神学の大衆化 |
Research Abstract |
本年度の研究は、17世紀中葉の反ジャンセニスム運動をその理論的側面と歴史的側面から理解することを念頭に置いて行われた。理論的側面としてはジャンセニスムの敵対者たちによる批判の論理が考察され、歴史的側面においては、王権と教権の競合によりフランスの反ジャンセニスム政策が生み出されていく経緯が考察された。どちらにおいてもマランデの論争書が出発点となった。 反ジャンセニスムの批判論理は主として、宗教(神学)的、政治的、道徳的なそれに大別できる。ジャンセニスムをカルヴィニスム異端の復興とみなす宗教レベルの批判は当時の多くの論戦家に共有されていたが、他方、政治と道徳におけるジャンセニスム批判は、主としてマランデの、Inconvenients d'Etat procedant du Jansenisme(1654)と題された著作に表明された注目すべき観点であった。彼はジャンセニスムを宗教セクトでなく政治セクトとみなし、またその神学思想が社会的な道徳の腐敗を引き起こすものと考えていた。こうした批判を体系的に展開する中で彼は、パントロー、ブリザシエ、デシャンといったイエズス会士の論戦家の議論を吸収し自由に利用していた。 反ジャンセニスム政策の歴史的考察は、マランデがその仏訳を担った1654年9月29日付の教皇の小勅書に焦点を据えて行われた。同小勅書はジャンセニウス断罪を教皇が初めて明言した文書であり、その文書の取得、交付、受容の歴史を、繰り返し開催されたフランス聖職者会議の動向に沿って考察することで、我々はフランスにおける反ジャンセニスム政策の出現過程を明瞭に理解することができた。すなわち、マザランが取り仕切った聖職者会議は、ローマに派遣したロデヴ司教の交渉により、ジャンセニウス断罪に有利な証言を教皇の小勅書として引き出し、それを国内で活用することで信仰宣誓文書作成にまで漕ぎ着けたのである。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)