近代日本における抵抗の契機としての国学の展開--折口信夫と柳田國男を中心に--
Project/Area Number |
05J10833
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Politics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 公彌子 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 折口信夫 / 柳田國男 / 保田興重郎 / 日本 / 近代 / 国学 / 土田杏村 / 武者小路実篤 / 保田與重郎 |
Research Abstract |
前年度から引きつづき、各々の全集を中心として柳田國男、折口信夫の思想分析を行った。とりわけ今年度は、保田與重郎との比較に重点を置いた。保田はとくに、折口の国文学観や柳田の女性論から多大な影響を受けている。 柳田の神道観においては、共同体の成員が実際に物忌すなわち食物や男女の交通の制限などの潔斎を行い、神人の共食・饗応を主体とした祭祀に参加することが重視されている。柳田が想定している神は人びとの願いを聞き入れる「やさしい神」である。また柳田は、「郷土」と密接な関係をもち非血縁者を含んだイエを重視している。 これとは対極的に折口の神道観においては、時代に適合した新たな教義を打ち立てることが重視されている。折口が想定する神は一神教的主宰神であり、「裁く神」「罰する神」である。しかも折口はイエを批判し、血縁、地縁にもとつかない親密圏を構想・実践している。 また保田與重郎の神道観に関しては、折口のような教義の重視や普遍宗教化の試みはみられない。保田は超越神、主宰神を否定し、ムスビの神々を重視している。さらに神人の共食・饗応を主体とした祭祀に参加することを重視する点では柳田と共通するが、柳田と異なり米を中心とした祭祀で用いられる食物を耕作するなどの日常生活を重視する点が特徴的であることがあきらかになった。 以上より、三者の神道観は国学にもとづきつつも、三者三様のものであることがあきらかになった。 なお、本研究の一環として、『国家学会雑誌』の「学界展望」欄に書評が掲載される予定である(第120巻第7・8号)。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)