言語行為論的観点からのジョン・ロックの言語論の研究
Project/Area Number |
05J10882
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 栄達 東京大学, 大学院・人文社会科系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 哲学 / ジョン・ロック / 言語哲学 / 言語学 / 言語行為論 / イギリス / 言語論 |
Research Abstract |
ジョン・ロックの言語論を言語行為論的な観点から読み解くという作業を遂行するために以下のことを行なった。 1.従来、私的言語説を表明したにほかならないものとして受け取られてきたロック言語論の基本テーゼに着目し、これが私的言語説を示すものではないことを明らかにした。具体的には、「言葉は、その一次的ないし直接的な意味表示において、その言葉を使う人の心の中にある観念のみを表わす」という基本テーゼが、知覚や思考の原理的な次元における意味媒介性という事実と日常的な言語使用における規範を示していること、そしてこのことが言葉の意味の公共的な側面を示す「共通の使用法」の存在を前提にしていること、これらを明らかにすることによって、基本テーゼが私的言語説を示したものでないこと、また、言語行為の主体として「人格」が想定されていることを明らかにした。そして、この研究成果を「ロック言語論における事実と規範--基本テーゼの分析から--」の題目の下に論文にまとめ、日本イギリス哲学会編『イギリス哲学研究』第30号に提出し、掲載された。 2.ロックの実在的本質の議論の中に科学実在論的態度を見出すという近年支配的な読みに対し、それとは異なる見方を提示した。具体的には、ロックの言う実在的本質が個物に関わる本質であること、そして実在的本質が類種に関わるとしたら、抽象観念を媒介してのみであること、その意味でそれはクリプキ・パトナム的な類種の本質ではないこと、このことを明らかにすることによって、ロックがクリプキ・パトナム的な科学実在論ではなく、言語行為を前提する制度的実在論とも言うべき立場を採っていたことを明らかにした。そして、この研究成果を「ジョン・ロックの本質論」の題目の下に論文にまとめ、東京大学哲学研究室『論集』25に提出し、掲載された。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)