対人関係における面子の役割についての文化心理学研究
Project/Area Number |
05J10898
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Social psychology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 純姫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 面子 / 文化心理学 / 対人関係 |
Research Abstract |
本研究の最後の目的は、面子が人々にもたらす心理的・対人的影響を調べ、日本文化における面子の重要性を実証することである。まず面子の心理的影響を調べるために、10週間にわたって日記調査を行った結果、(1)個人自身の面子に関わる経験は不快感をもたらす、(2)人々の日々の精神的well-being(気分および自尊心状態)は人々の面子出来事の結果に左右されている、(3)周囲の他者の面子結果も人々の気分に影響を与える、の三点が明らかになった。 また、本研究は面子の対人的影響を検証するために、他者の面子のために行われる利他的面子行動を取り上げ、その概観を把握するための質的調査、および、実在の二者関係を対象にしたスノーボール調査を行った。その結果、(1)人々は日常生活において、他者の面子のための配慮や対人行動を頻繁に行っている(例えば、他者の面子を潰さないようにあるいは立てるように気遣ったり行動を起こしたりする)、(2)これらの利他的面子行動には、他者との関係性を促進するような潤滑効果がある、の二点が明らかになった。 以上の心理的・対人的影響に基づくと、日本文化において、「面子」というものが重要である'理由'が示唆される。つまり、面子の維持によって、気分が快く自尊心状態が高揚し、一方面子の喪失によって、気分が不快で自尊心状態が低下するために、人々が日々努力して、自らの期待されるような役割を果そうとしていると考えられる。また、他者の面子を配慮したり行動したりすることにはその他者との関係性を良くするような実質的な対人効果があるために、人々が日頃の対人関係においても意識的・無意識的に周りの人の面子を大事に扱っているのであると考えられる。従って、本研究は日本文化における「面子」の意義を実証的データに基づき提示することができたと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)