19世紀後半ボヘミア農村社会におけるアソシエーションの生成・展開過程
Project/Area Number |
05J10939
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桐生 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 西洋史 / 近代史 / ボヘミア:チェコ:中欧:東欧 / アソシエーション / 農村:農民 / 国民 / 市民社会 / ボヘミア:チェコ:ハプスブルク帝国 / 地域社会 / 農村 / 近代市民社会 |
Research Abstract |
本研究は、農村におけるアソシエーションの生成・展開過程を追うことによって、19世紀後半のボヘミア農村社会の変容とその特質を明らかにすることを目的としたものである。研究2年目にあたる本年度は、昨年度の作業を基盤に研究成果のアウトプットを進めることに重点を置いた。 1.『農事新聞』の分析 1848年の隷農制廃止後、農村住民の啓蒙を目的として愛国農業協会が発行した『農事新聞』の発行の背景、読者、紙面の分析は既に昨年度終了しており、今年度はその成果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿した。現在この論文は査読中である。 2.農業協会と地域社会 1850年代から60年代にかけ、愛国農業協会の支部という形で、各地に農業協会が設立されてゆく。本研究は、農村住民が農業協会の活動に関与し始めた過程、農業協会の活動について、地域社会との関わりにおいて検討した。そして、こうした農業協会が、地域社会に新たな「公論の空間」を創出し、農民も農業協会を通じて地域社会の政治構造に加わっていったという結論を導いた。この成果は、第54回日本西洋史学会において口頭報告され、論文「1850-60年代ボヘミアにおける農業協会と地域社会-農民・国民・『公共圏』-」として『西洋史学』に掲載が決定した。 3.1880年代の農村における公論の空間の拡大 1880年代の農業運動の展開は、一般に農業危機の帰結としてとらえられているため、従来は主に経済的視点から分析されてきた。本研究は、当該期の農村の動きを結社活動に注目し、公論の空間の拡大という視点から検討することに努めた。そして、1870年代後半以降、農業協会よりも規模の小さい農業・読書サークルが農村各地に普及してゆくこと、これらの農業・読書サークルがネットワークを形成していたことを指摘し、農村における諸問題が立法機関や行政機関を通じて解決が図られるようになる過程を明らかにした。同時にこうしたサークルが、階級的な差異化の戦略に統御されていたことを指摘し、世紀転換期に開始する大衆の政治化過程への展望を示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)