Project/Area Number |
05J10950
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 悠介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 能楽 / 金春禅竹 |
Research Abstract |
金春禅竹の翁信仰の背景にある荒神信仰については、日本における荒神信仰の発生、天台・真言双方における展開や荒神の図像学的背景、荒神の教説的な位置づけと禅竹の能楽論や翁信仰への影響などを論文にまとめた。中世の荒神信仰を考える上で重要な『荒神縁起』(鎌倉末期の成立)の諸本についても検討し、部分翻刻も掲載している。 また、金春禅竹の能楽論の宗教的背景については、後期から顕著にみられる天台系教説の影響を分析する過程で、様々な教説が複合的に組み合わさっている様相が判明してきた。特に、禅竹の六輪一露説の中で最も重要な位置にある「一露」については、東大寺戒壇院の僧・志玉の華厳学との関わりを具体的に検討した。六輪一露説の「一露」の部分に志玉が加えている注について典拠を解明するとともに、志玉が『華厳五教章』の講義において言及している白露の道歌が、『六輪一露之記注』末尾に附載されている禅竹の和歌に影響を与えていることを指摘し、禅竹のいう「露」や「水」の比喩は、演能における自在性や、そこにおける心のありようの表象であることを明らかにしたのである。従来、志玉による禅竹の「六輪一露説」への加注は南都の高僧による権威付けに過ぎないと片付けられがちであったが、以上の検討はそうした定説を見直し、能楽論の背景をなしていた華厳学の一端を明らかにしたものである。また、「一露」については、これまでの研究では主に中世神道説の文脈で理解されてきており、確かに「一露」という言葉や、後期禅竹能楽論における「一露」に関する思想は中世神道説の影響を抜きにしては考えられないが、それだけではなく、華厳学や禅における「露」の教説的意味を受けている面もあり、そこに天台系の一心三観説も加わっていくという複合的な性格がみられることを指摘した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)