Project/Area Number |
05J10980
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 義志 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | フランス演劇 / 演技論 / 人文主義演劇 / 演劇と教育 / 弁論術 / ローマ演劇 / ギリシア演劇 / 韻文 / 演劇 / 演技 / 身体 / ドラマ / 優美 / アリストテレス / 舞台芸術 |
Research Abstract |
西欧において、そしてとりわけフランスにおいて、歌と踊りを排除した演劇が成立したのはなぜなのか。これが我々が提起した最も根源的な問題である。結論から言えば、それはこの近代人の演劇が、古代人の演劇実践ではなくむしろ弁論術を参照しているからである。近代演技論とは弁論術に基づいた演技論の謂いに他ならなかった。ここでいう弁論術とは、法廷・議会闘争の技術である。実際フランスの演劇人たちが参照した弁論術のテクストを読めば、確かに歌と踊りの禁止が明言されている。 法廷や議会での演説において歌や踊りが禁じられるのは当然だが、だとすれば近代の演劇人はなぜ古代の俳優ではなく弁護士や政治家に範を仰いだのだろうか。この問いに答えるには、まず「近代人の演劇」が成立した場と状況とを知っておく必要がある。ルネサンスにおいては「古代演劇の復興」という旗印の下にギリシア・ローマ風の悲劇・喜劇が上演されるようになった。ただし、その上演の場は民衆的な祭礼や商業的なスペクタクルとは無関係な教育の場であった。コレジオにおいてラテン語の演劇が盛んに上演されたのは、まずはそれがそこでの共通語であるラテン語で円滑な会話ができるようにするための格好の手段であったからであり、そしてとりわけ演劇の上演が弁論術の訓練の一環と見なされていたからであった。 フランス古典劇の理論は、弁論術を根幹においた教育体系の中で育てられたこの演劇実践に多くを負っている。今年度に発表した「虚構と韻律」では、16世紀から19世紀初頭に至るまで、劇作と演技との両面において、フランス近代劇がいかに弁論術の影響を被ってきたかを、韻文劇批判の歴史的展開を例にとって論じた。歌や踊りと同様、詩・文学において韻文が排除されていったのも、弁論術という散文の技術がモデルになったためなのである。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)