Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では,気泡核の生成-成長過程を分子スケールからボトムアップ的に解明することを目的として,分子動力学シミュレーションにもとづく解析をおこなっている.昨年度までの研究により,不純物の混入がない系では,オストワルド成長に類似した競合的な成長が起こるのに対して,分子間力の弱い不凝縮ガスが混入している系では,合体にもとづく成長が顕著になることがわかっている.また,平均気泡核半径の時間変化が示すべき乗則(成長速度指数)に注目すると,双方の系において1/2に近い値を示す一方で,成長速度指数を決める二つの物理量(総気泡核半径と総気泡核数)に対するべき指数には,大きな違いが表れることも明らかになっている. 本年度は,このような違いが気泡核サイズの時間変化特性に依存していることを具体的に示した;まず競合型の場合には,気泡核サイズの時間変化が液相中を伝わる音速に依存した速い時間変化を示すことで,気泡核の重心移動によってまわりの気泡核と接触・合体する時間スケールよりも短くなることに起因する.一方,合体型の場合には,各気泡核のサイズ変化の時間スケールが,不凝縮ガスの拡散という,液相中の音速よりもはるかに遅い時間変化特性を有しており,競合的な機構も存在するものの,気泡核の重心移動によってまわりの気泡核と接触・合体する時間スケールの方が短くなるために合体が頻繁に起こるようになる. また,計算領域に対する依存性を検証するために,超大規模分子動力学計算を実施した.具体的には,分子数約600万個,領域の大きさが一辺あたり70nmの3次元計算を,競合型の気泡核に対して実施した.その結果,成長速度指数そのものには大きな違いが表れず,小さい計算系の場合と同様に1/2に近い値を示すのに対して,成長速度指数を決める二つの物理量(総気泡核半径と総気泡核数)に対するべき指数には差異が表れる可能性があることを示した.
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