Research Abstract |
本研究では,宇宙輸送機への適用を想定した超音速空気吸込式エンジンにおける,新機軸軸対称型インテークを新たに提案し,宇宙輸送機用インテークが抱える2つの重要な課題,すなわち,「非設計点性能の改善」と「構造重量の軽減」を図ることを目的としている. 本年度は,昨年度に行った研究により得られた,軸対称キャビティ流れの基礎特性をふまえ,提案する新機軸エアインテークを設計した.設計したインテークの空力性能特性を,風洞実験と数値計算による解析によって評価した.本インテークは,スパイク全長を変化させることで非設計点性能の改善を図るものであるが,まず,スパイク長さを変化させない場合,本インテークは基準とする従来型のものと同等の性能を達成できた.スパイクを短縮することで,エネルギー損失を抑えつつ捕獲流量を増大することを図ったが,本研究で想定した混合圧縮型インテークでは,内部圧縮部による制限が顕著であり,性能改善に至らなかった.しかし,逆にスパイク全長を伸長した揚合には,エネルギー損失を抑えつつ,捕獲流量を制御することに成功し,本インテークが,従来型のものに対して優位であることを実証した.この優位性は,エンジンサイクル全体においても有効であることを,エンジンサイクル計算を行って確認した. 本インテークが基をおく,「軸対称キャビティを利用した空力形状可変」の概念を,エアロスパイクに適用し,その特性を評価することも行った.軸対称キャビティつきエアロスパイクは,単純なスパイクと円錐の中間の特性をもつため,ミッションによっては有効であることを風洞実験による基礎研究で明らかにした. 本年度に得られた研究成果は,国内学会にて発表した.また,昨年度から本年度にかけて得られた成果を五編の論文として国内外の学術雑誌に投稿し,うち国外雑誌に投稿した二編,国内雑誌の投稿した二編が既に採択され,国内雑誌に投稿した一編が査読中である.
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