異方的超伝導体における空間的非一様性の効果について
Project/Area Number |
05J11111
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇田川 将文 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 有機導体 / 電荷秩序 / 非線型輸送 / 第二種超伝導体 / 渦糸状態 / アンドレーエフ束縛状態 / 非ユニタリ状態 / 異方的超伝導 / 準古典理論 |
Research Abstract |
本年度はθ系有機導体を対象として、その電荷自由度に注目した研究を行った。この物質群は高温領域では金属的な伝導を示す一方、低温で電荷秩序を伴って絶縁化する強い傾向を持つ。電荷秩序状態への転移温度は物質の組成を変えることによってコントロールでき、例えばアニオンとしてCsを用いると、絶対零度近傍まで電荷秩序を示さないようになる。このCs系では電荷秩序を示さない代わりに特異な非線形輸送特性や磁気的性質を示すことが知られており、現在、最も注目を集めている物質のひとつである。この系では2種類の異なる波数を持つ電荷秩序状態のゆらぎが存在することがX線構造解析の実験などから分かっており、異なる波数の電荷秩序状態がドメインを作って空間的に住み分けを行った状態が実現しているとの提案がある。また、このような空間的非一様性が非線形輸送特性に深く関わっているのではないかという指摘もある。このような秩序の競合から生じる空間的非一様性の観点から非線形輸送特性を説明するのは非常に興味深いことであるし、また本研究のテーマとしてもふさわしいものであるが、そもそも電荷秩序が空間的に住み分けるという特異な状態が実際に実現するかどうかは疑問である。そこで私はまず、空間的に非一様な状態を仮定せずにX線構造解析の実験を説明することを試み、電子間相互作用に起因する電荷揺らぎとFermi面の構造に起因する電荷揺らぎが共存していると考えれば、X線構造解析の実験をピークの温度依存性などを含めて説明できることを見出した。我々はこの成果をPhysical Review Letters誌に投稿し、現在、掲載が決まった段階にある。今後はこの立場に立って、非線形輸送等の特異な物性の研究を進めていく方針である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)