無限次元系エンタングルメントの解析と量子情報処理への応用
Project/Area Number |
05J11129
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾張 正樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 量子情報 / 量子計算 / 量子暗号 / 量子非局所性 / エンタングルメント / 量子状態複製 / 量子状態識別 / 量子クローニング / LOCC / 幾何学的エンタングルメント量 / 正準Bell状態 |
Research Abstract |
昨年度は、無限次元におけるエンタングルメント変換性の量子情報処理への応用のために、LOCCによる状態識別に目をつけてその詳細を研究した。今年度はその応用として、次の2つの事のことに取り組んだ。 (1)LOCC状態識別における1方向古、典通信と双方向古典通信の差について。 遠距離当事者間の古典情報通信のタイプの違いによる2つのLOCCのタイプ、すなわち双方向に古典情報通信が許された一般的なtwo-way LOCCと古典情報通信が一方向に制限された場合のone-way LOCCの違いが、LOCC識別性にどのような影響を与えるかを研究した。その結果として、one-way LOCCで識別可能な状態数が、2体の系ではSchmidtランクというエンタングルメント量を用いて表されることを示し。2量子ビット系においては、具体的にtwo-way LOCCによる状態識別プロトコルを構成することにより、双方向古典通信が一方向古典通信に比べて著しくLOCC識別の困難さを減少させることを示した。このことは、古典情報をエンコードされた状態集合からLOCCのみによって古典情報を得ようとした時に、双方向古典通信によって得られる古典情報が増加するということを意味するため、情報理論にも非常に意義深い。 (2)高い対称性を保持する状態の距離的エンタングルメント量について 昨年の研究において、私は多体系で定義されるエンタングルメント量の中でも、特に距離的エンタングルメント量と呼ばれる種類の量に着目し、それらのエンタングルメント量がエンタングル状態のLOCC状態識別性と関わっていることを示した。距離的なエンタングルメント量としては、Robustness of entanglement, Relative entropy of entanglementおよびGeometric measure of entanglementの3つの異なる量がある。これらの量の問には大小関係が成り立っ事は昨年の論文で証明をしたが、どのような条件のもとでこの3つの量が一致するのかは、2体の系を除いて知られていなかった。2体の系では3つの量は最大エンタングル状態でのみ一致するので、これらの量の一致する状態を多体系で見つけることは、最大エンタングル状態の自然な拡張を見つけることになるという意味でも意義深い。私は、群論的な解析の結果、与えられた状態がコンパクト位相群の局所ユニタリー表現の多重度1の規約表現になっている時に、これらの3つの量の値が一致することを証明した。また、これを用いて今までわかってしなかった反対称状態や対称状態の距離的なエンタングルメント量の値を求めた。その結果、反対称状態の方が対称状態よりも距離的なエンタングルメント量の値が大きいことがわかった、このことはLOCCで反対称状態がより見分けにくく、量子ネットワーク上で情報を秘匿するのに適していることを示している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)