半導体量子ドット中の電子スピンを用いた量子計算に関わる物理と基本技術の研究。
Project/Area Number |
05J11145
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小寺 哲夫 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 量子ドット / 量子計算 / 半導体 / 電子スピン |
Research Abstract |
本研究は、半導体量子ドット中の電子スピンを量子ビットとして用いる量子計算の物理の解明、ハードウェアのための基本技術の実現を目的とする。二電子スピン状態の制御には交換相互作用の制御が必要不可欠であり、本年度はその交換相互作用の定量的評価の研究に成功した。 近年、縦型二重量子ドットにおいて、スピン三重項励起状態を作ることによってパウリ効果による安定状態ができること(パウリスピンプロッケード、P-SB)、この状態は超微細結合(HF)を介して時間的に除々に解消することが核磁気共鳴を用いて確認されている。さらに、横型二重量子ドットにおいて、P-SBにおけるHFを積極的に利用して単電子スピン状態や二電子スピン状態をコヒーレントに制御した実験が報告されている。 我々は、HFを外部磁場やソースドレイン電圧V_<sd>により制御する方法を用いて、二電子スピン状態の交換エネルギーJの詳細を定量的に調べた。Jは2量子ドット間の準位差Δとトンネル結合2tの関数である。ΔはV_<sd>により制御し、2tはドット間バリア厚の異なるデバイスAとBを用いて関係を調べることが可能である。バリアが厚いデバイスAの実験では二つの三重項状態間の共鳴点付近でJの増大が観測された。これは三重項状態間の反交差によるJの増大を反映していると考えられる。この実験値は2p状態を取り入れたハバードモデルによる計算によって定量的に説明できる。また、核スピン揺らぎによる"一重項・三重項混合"とHFによる"一重項・三重項遷移"の共存をはじめて観測した。これは核スピン揺らぎのエネルギーとJが同程度の場合に起こる現象と考えられる。 比較のため、デバイスBを用いて同様な実験を行った。ハバードモデルの計算を行い、実験的に見積もられたJと定量的な比較を行った。計算結果は実験データとよく一致した。共鳴点付近から非共鳴領域まで幅広い範囲でのJの定量的な議論が本研究ではじめてなされた。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)