単結晶エピタキシャル薄膜を用いた強相関遷移金属酸化物の光電子分光法による研究
Project/Area Number |
05J11210
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和達 大樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光電子分光 / X線吸収分光 / 薄膜 / レーザーMBE法 / バンド計算 |
Research Abstract |
平成18年度は、昨年度に引き続き、単結晶エピタキシャル薄膜を用いて強相関遷移金属酸化物を光電子分光法により研究した。昨年度より研究しているFe酸化物、Mn酸化物に加え、V酸化物LaVO_3の研究を行った。 La_<1-x>Sr_xFeO_3については、電子状態の温度変化を光電子分光法により詳細に測定した。その結果、x=0.67の組成で起こる電荷不均化に伴う電子状態変化の観測に成功した。また、x=0.67以外の組成でも同様の変化が観測され、局所的な電荷不均化を示すと考えた。また、角度分解光電子分光(ARPES)によりこの物質のバンド構造の直接観測を行った。得られたバンド分散はタイトバインディングモデルを用いたバンド計算により再現に成功したが、計算ではフェルミ準位をよぎるバンドが実験ではフェルミ準位をよぎることはなかった。ホールをドープしても絶縁体である理由は、この物質において電子格子作用が強く、ドープしたホールが局在しやすいためと結論した。 Mn酸化物Pr_<1-x>Ca_xMnO_3に対しては、バルク試料とLaAlO_3上の薄膜試料の電子状態の比較を光電子分光により行った。バルク試料では電荷整列相内で、化学ポテンシャルのシフトの抑制、フェルミ準位付近の新しい状態の出現などの、相分離を示す結果となった。その一方、LaAlO_3上の薄膜試料では、基板からの面内圧縮歪みによって電荷整列が抑制され、バルク試料のような相分離を示さなかった。 新たに研究を開始したLaVO_3については、LaAlO_3との界面構造における電子状態に注目した。V 3d電子は局在し絶縁性を保つ一方、LaO面、VO_2面が極性を持つことを反映して、電位の発散を防ぐような電荷の移動が界面で生じることが分かった。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)