局所平衡を大きく破る現象に対する統計理論の測定量関係式からの構築
Project/Area Number |
05J11222
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Institution | Waseda University (2006) The University of Tokyo (2005) |
Principal Investigator |
林 久美子 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非平衡統計力学 / 揺動散逸定理 / コロイド粒子 / タンパク質 / 小さい非平衡系 / 非平衡定常状態 / 揺動散逸関係式の破れ / ランジュバンモデル |
Research Abstract |
近年、操作および観測技術の向上により、DNAやRNA、タンパク質、コロイド粒子などのマイクロメートルオーダーの系で1分子の統計性質を調べる実験が盛ん行われている。このような揺らぎの大きい小さな系で不可逆仕事から自由エネルギーを評価するJarzynski等式やエントロピー生成の関係式であるfluctuation theoremが実験で検証されてきた。これらの関係式は非平衡統計力学の代表的な揺らぎの関係式であり、近年の小さな系の実験の進歩と非平衡統計力学の進歩は切り離せない関係にある。申請者はこのような関係式を利用して、コロイド粒子や生体高分子を研究した。 小さい系の代表であるコロイド粒子の運動は確率過程で記述される。申請者はコロイド粒子が外力に駆動されるというランジュバンモデルの解析を行い、非平衡定常状態の統計性質を調べてきた。例えば、強い非平衡定常状態では揺動散逸関係式が破れることが知られている。この平衡状態近傍では見られない現象である「揺動散逸関係式の破れ」を熱力学・統計力学の視点からどのように特徴づけるかを確率過程解析、摂動論および数値実験を用いて研究してきた。 コロイド粒子より複雑な構造をもつタンパク質は、緩和の遅いガラスとして非平衡状態になりうる。申請者はタンパク質の数値実験を行い、タンパク質のガラス的性質を研究している。粒子が外力に駆動されるような非平衡定常状態だけでなく、緩和の遅いガラスも非平衡状態にあるので揺動散逸関係式は破れる。構造ガラスやスピングラスで有名な揺動散逸関係式の破れという現象をタンパク質モデルで報告し、ガラスとタンパク質の研究の橋渡しをした。申請者等はミオシン分子のモデルにおいて頭と尻尾で揺動散逸関係式の破れ方が異なることに注目し、この観点からミオシン分子の頭で起こる分子モーターのエネルギー貯蓄機構について議論した。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)