Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
今年度は主に、自由群のIA-自己同型群の整係数2次元ホモロジー群に関する研究を中心的に行った。自由群のIA-自己同型群とは,自由群のアーベル化に自明に作用するような自己同型たちのなす部分群であり,写像類群におけるTorelli群に対応している.IA-自己同型群の整係数ホモロジー群の研究は自由群の自己同型群のねじれ係数ホモロジー群の研究と表裏一体の関係にあり,その構造を解明することは極めて重要である.現在,IA-自己同型群の1次元ホモロジー群は,自由群の自己同型群の第1Johnson準同型の像と一致することが知られている.さらに,Pettetによって,IA-自己同型群の有理2次元コホモロジー群における,1次元コホモロジー群のカップ積の像が完全に決定されている.しかしながら,IA-自己同型群の2次元コホモロジーがこれらで尽きるかどうかについては未だに解決されていない重要な問題である. 今年度の研究において,私はIA-自己同型群の関係子たちの構造を調べることで,カップ積の像を組み合わせ群論的に特徴付けることができた.現在はIA-自己同型群の関係子たちのより深い構造を調べることで,1次元コホモロジー類のカップ積で書けないような非自明2次元ホモロジー類が存在するかどうかについて研究中である.一方,私は自由群の自己同型群のJohnson filtrationがIA-自己同型群の降中心列に一致するかという問題にも強い興味を持って研究を行っている.特に,今年度は自由メタアーベル群の自己同型群のJohnson filtrationについての研究を行った.自由群をメタアーベル化する利点は,そのIA-自己同型群の各元が忠実なMagnus表現により,ある種の行列として捉えられる点にある.私は,将来的にはこの研究を元々の,自由群の自己同型群のJohnson filtrationの場合に応用させたいと考えている.
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