人工遺伝子ネットワークによる細胞内ダイナミクスの包括的解析
Project/Area Number |
05J12029
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
基礎ゲノム科学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前多 裕介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DG1)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 細胞運動 / 生物物理学 / システム生物学 / 遺伝子ネットワーク / 細胞膜 / 発生・分化 / 揺らぎ / 非平衡開放系 / パターン形成 |
Research Abstract |
細胞運動は発生現象、免疫反応、裂傷回復、ガンの転移・浸潤など多くの生体反応に見出される。「細胞はどのようにして動くのか?」という動作原理の解明は高次生命現象の理解に向けた重要課題の一つである。しかし、細胞運動のように動的な現象を理解するためには関連分子の同定だけでなく、ダイナミクスに注目した定量解析が必要不可欠である。そこで本研究では、細胞膜の変形ダイナミクス(膜揺らぎ)に着目し、膜揺らぎと細胞運動の動的相関から普遍的な細胞運動メカニズムの探求を行った。 ある種の真核細胞、たとえば細胞性粘菌Dictyostelium discoideumは外部からの刺激や誘引物質がなくとも自発的に運動することができる。外部からの誘導のない自発運動では単にランダムに膜を変形させながら動いているにすぎないと考えられ注目を集めてはこなかった。しかしわれわれは膜揺らぎの相関解析により、細胞膜の変形はランダムではなく秩序的である証拠を得た。 まず外部刺激の無い環境下で自発運動中の単一細胞性粘菌を顕微鏡により撮影した。次に、重心から細胞膜の境界までの長さを360°すべての角度について求め、膜揺らぎを定量化した。単に膜揺らぎを定量化しただけでは規則性を見出すことは出来なかった。ところが自己相関関数を用い、ランダムな変動成分を除去したところ膜揺らぎには基本的な3つのパターン-伸張、回転、振動-が存在することが明らかとなった。これら3つのパターンはunpolarizedおよびpolarizedした細胞性粘菌の両方で見出され、状態によらずに存在する膜揺らぎの基本的性質であることを意味している。 さらに、膜揺らぎのパターンと細胞運動の運動方向の相関を解析したところ、PTENおよびPI3-kinaseの自発的な局在を介して膜伸張方向へ運動をバイアスしていることを見出した。以上の結果より、膜揺らぎのパターンとPTEN/PI3-kinaseという分子が膜変形と多様な運動性とが関連付けていることが示唆された。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)