速度論的に安定化されたスズ-炭素二重結合化合物の合成とその構造・性質の解明
Project/Area Number |
05J50542
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水畑 吉行 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | スズ-炭素二重結合 / 含スズ芳香族化合物 / 速度論的安定化 / 芳香族化合物 / 共鳴安定化 / 高周期元素 / アレーン錯体 / スズ |
Research Abstract |
本研究は、立体保護基として2,4,6-{CH(SiMe_3)_2}_3C_6H_2(Tbt)を用いて、スズ-炭素二重結合化合物(スタンネン)の性質を解明することを目的としている。本年度は、初めての室温で安定なテトラアリールスタンネンである6-スタンナペンタフルベンのX線結晶構造解析に成功し、そのスズ-炭素二重結合長は、これまでに報告されているスズ-炭素結合長の中で最短のものであった。その値は一般的なスズ-炭素単結合長に比べ6%程小さく、スズ-炭素二重結合性が示唆される。またスズ原子周りは平面三配位であり、sp^2混成軌道を形成しているものと考えられる。これらの結果から、sp^2混成軌道を形成しにくい第五周期元素であるスズにおいても炭素との間ではsp^2混成軌道によるπ結合を形成しうることが明らかとなった。 次に得られた知見を参考に、スズ-炭素二重結合を芳香環に組み込んだ含スズ芳香族化合物の合成を検討し、2-Tbt-3-t-Bu-2-スタンナナフタレン(1)を合成した。1は、黄色の固体であり、C_6D_6中80度の加熱においても変化は見られず、高い熱的安定性を有していた。X線結晶構造解析の結果から2-スタンナナフタレン環はほぼ完全に平面であり、母体のナフタレン骨格に特徴的な結合交替を示した。また、各種スペクトルの測定および理論計算の結果からも1が充分な芳香族性を有していることが明らかとなった。さらに、1と[Cr(CH_3CN)_3(CO)_3]との配位子交換反応を行ったところ、スズを含む六員環がη^6型で配位した新規なアレーン型錯体を合成単離することにも成功し、反応性の面からも炭素の系と同様の挙動を示すことを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)