代謝シミュレーションモデルを用いた赤血球の新規生理機能の探索ならびにその手法開発
Project/Area Number |
05J50912
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Bioinformatics/Life informatics
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木下 綾子 慶應義塾大学, 大学院政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | システムバイオロジー / シミュレーション / 赤血球 / 代謝 / 低酸素 / 微小循環 / ヘモグロビン / S-System / メタボローム解析 / 代謝シミュレーション / 低酸素応答 / モデリング手法 |
Research Abstract |
低酸素によって起こるヒト赤血球細胞内の代謝変動の機序を理解するため、ヘモグロビンのアロステリ変化、それに伴う代謝物やタンパクの結合特性の変化を考慮した、ヒト赤血球代謝シミュレーションモデルを構築した。メタボロームプロファイルとシミュレーション結果の比較から、低酸素によるヘモグロビンアロステリの変化が解糖系を亢進させ、細胞内のエネルギーチャージを高めると同時に、低酸素の微小血管への酸素放出を効率的にしている可能性が示唆された。また、これらの代謝変動を急激に起こすためのスイッチとして、赤血球膜状に多量に存在するバンド3膜タンパクが機能していることが示された。また、酸素運搬に不可欠なヘモグロビンは、酸化ストレスによってメト化し、赤血球の機能に重大な低下をもたらすため、ヒト赤血球では2つの異なる代謝経路でこれを還元している。しかし、実験条件下において、一方の経路はもう一方と比較して活性が非常に低く、生理的意義は不明であった。これらのメトヘモグロビン還元経路について主要なエネルギー代謝経路と併せてモデリングし、解析を行った結果、少量のメトヘモグロビンにも感受性が高いが、還元流量が限られている経路(NADPH依存)、少量ではほとんど反応しないが、高濃度のメトヘモグロビンに対処できる経路(NADH依存)、という異なる性質を持つことを示唆した。これにより、これまで生理機能が不明とされていた代謝経路が、通常の生体内で存在する程度の、微量のメトヘモグロビン還元に関して、むしろ主要な役割を果たしていることを示した。それぞれの経路の特性を、主要エネルギー代謝経路の経路特性と併せて議論し、メトヘモグロビン還元経路が細胞機能を維持するのに合理的な代謝機構であることを示唆した。その他、代謝物質の時系列データからS-Systemモデルを簡便に構築する手法の開発とその精度検証を行い、誌上発表を行った。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)