Research Abstract |
氾濫被害低減を最終的な目的と定めた計測法およびシミュレーション法を含む総括的な要素技術の発展を目指した研究を実施した. 1.まず,実河川モニタリングシステムの開発に関しては,吉野川,新湊川,宇治川,荒川,阿賀野川での画像の撮影・蓄積を進めるとともにデータの分析をすすめることにより洪水現象の把握を進めている.画像解析により得られたデータは,他の計測法と比較検討がすすめられ,信頼性の確認を行っている.主な成果は以下の二点である.(1)画像の撮影方法に関して,ネットワーク化によるリモートコントロール導入も進めており,特に高画質な画像を低価格・低容量回線を用いて効率的に取得する方法の開発を行った.(2)撮影方向およびズームなどのカメラパラメーターの算定法についての効率的な新手法の開発を実施した.これにより撮影の自由度が大幅に向上された. 2.実河川予想モデルについては,既往モデルとの比較検討により本モデルの妥当性を確認した.また,開水路凹部流れにおいて見られる水面変動の数値モデルによる再現性についても確認し,特に振動周期について良好な再現がなされることが確認された. 3.高解像度氾濫モデルの開発については,航空レーザー測量データの処理方法を工夫することにより,詳細な氾濫モデルの構築を効率的な手段によって行う方法の開発を行った.これにより,従来は精度の制約や手間がかかることから実施が困難であった詳細なモデル化を行う都市域での氾濫予測を,本手法を用いることにより自動化されたプロセスによりモデル化できる点が大きな特徴となっている. 以上,3点の要素技術についての新技術の開発が進められており,それぞれの成果に価値があるだけでなく,氾濫被害低減の達成においてこれらの要素技術開発の効果が相乗して現れることが期待される.
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