Research Abstract |
本研究は,1970年代アメリカ合衆国公立学校財政の州集権化を,同年代に公立学校財政の財源負担割合を増大させた全米50州の中でも,10パーセントポイント以上の増大を示した19州について,実証的に解明することを目的として実施した。これらの19州の具体的に言えば,アラスカ州,カリフォルニア州,コロラド州,アイダホ州,インディアナ州,アイオワ州,カンサス州,ケンタッキー州,メイン州,マサチューセッツ州,ミネソタ州,モンタナ州,ネバダ州,ニュージャージー州,ノースダコダ州,オハイオ州,オレゴン州,ワシントン州,ウエストバージニア州である。 これら19州の中で,ニュージャージー州,マサチューセッツ州,オハイオ州,オレゴン州,ワシントン州,カリフォルニア州,インディアナ州,モンタナ州について,特に詳しく分析した。 公立学校財政における州集権化については,公立学校財政訴訟にもとづく裁判所の命令を受けた州公立学校財政関係法の制定に基づき,公立学校財政改革が実施され,その結果として公立学校に対する州の財政負担割合が増大したことを明らかにした。特に,州の公立学校財政の中心は,州が地方学区に対して配分する基礎教育補助金であり,この基礎教育補助金配分方式の改革が,州の公立学校財政改革の中心,ひいては公立学校財政の州集権化の鍵を握ることを明らかにした。加えて,その基礎教育補助金配分方式の改革にともなう,州と地方学区との基礎教育補助金の配分をめぐる政府間財政関係の変容についても明らかにした。
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