Project/Area Number |
06740340
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (10251711)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | Baイオン / Xe / 非線形光学 / 反転分布 / 真空紫外 / 量子干渉 |
Research Abstract |
原子系の光応答に対する感受率を外場(電磁場)により制御した新しいタイプの非線形光学過程とレ-ジングの研究をおこなった。真空紫外、または極端紫外領域で、高効率にコヒーレント光を発生させることを最終的な目的としている。基本的なアイデアは、既に水素原子を用いて、理論的実験的に本研究室で実証済みで、本研究の主たる目的は、このアイデアを重い原子系へ拡張することにあった。対象とした物質は、一価のBaイオンと中性Xe原子で、それぞれ水素原子の137倍、及び131倍重い。これにより、水素原子を用いた非線形周波数混合過程で、効率の向上を妨げていたドップラー広がりを10分の1以下に抑えることができた。 Baを用いた研究では、スピン軌道相互作用によりJ=3/2と5/2に分かれた準安定状態の第一励起状態5D_<5/2>と第二励起状態6P_<3/2>を強力な単一縦モードレーザー光でカップルし、6P3/2-5D3/2遷移の吸収プロファイルを観測した。5D5/2と6P3/2を強力にカップルしたことにより、系に生じた量子的干渉の効果を、AC Starkした吸収プロファイルの非対称性から観測することができた。Xeを用いた研究では、828nmの強いレーザー場によって強結合した5p^5(^2P_<3/2>)6p-5p^5(^2P_<3/2>)6sの上準位へ向かって、5p^6-5p^5(^2P_<3/2>)6pを2光子励起し、5p^5(^2p_<3/2>)6sから5p^6へ遷移する差周波光を発生させ系の基礎特性の測定をおこなった。差周波光強度の密度-相互作用長積依存性と、同時に発生する多光子イオン信号から、系に量子的干渉が生じ、非線形感受率の共鳴的増大と発生光に対する透明化が同時に実現できていることが確認できた。これらの研究を通して、水素原子で展開された研究の成果を重い原子系へ、拡張可能なことが実証できた。 ここで、本研究の実行にあたって、新しく、585nm、614nm、828nmの単一縦モード広帯域波長可変レーザーの開発をおこない、これを実験に用いた。これらのレーザーは、系の基礎的特性の測定には、十分な成果を上げることができたが、今後この系を用いて実際に真空紫外光を高効率に発生させるには、さらに線幅の狭い半導体レーザー等のレーザーをベースにしたパルスレーザーシステムが必要であることが再認識された。
|