原生生物クラミドモナスにおける機械的刺激を受容するメカニズムの研究
Project/Area Number |
06740628
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
動物生理・代謝
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 建二郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (10230806)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 機械的刺激受容 / クラミドモナス / チャンネル / カルシウムイオン / メカノセンサー |
Research Abstract |
原生生物は光、温度、化学生物など様々な外的な刺激に対して行動を変える。原生生物のクラミドモナスはそのような巧妙な反応系を持つ原生生物の一つであるが、機械刺激に対する反応は未知である。本研究では、機械的刺激に対してクラミドモナスが周期的な活動電位のようなスパイクを出すことを発見し、その性質を明らかにした。 クラミドモナスの細胞体を吸引電極に吸い付け、吸引電極を通じて細胞の膜電流を測定し、吸引圧力を与えた。鞭毛をピペットに吸い込んだ状態で吸引を行うと、活動電位のようなスパイクが約1Hzの頻度であらわれ、吸引をやめるとしばらく続いた後に止まる。1)このスパイクは鞭毛を吸引しないと現われないことから、鞭毛にあるメカノセンサーが関与していることが考えられる。2)短い鞭毛を持つ細胞は小さい振幅のスパイクしか出さなかった。従って鞭毛の全長に分布しているチャンネルがスパイクの電流を通していると考えられる。3)与えた圧力(5-20cmH_2O)が高いほどスパイクの頻度(0.5-1.0Hz)は高かった。刺激の強さを活動電位の頻度に変換するfrequency codingは中枢神経系を持つ生物では一般的であるが、原生生物では初めての報告である。4)カルシウムイオンを取り除いたり、カルシウムチャンネルブロッカーを与えるとスパイクは消失した。このことはスパイクがカルシウムイオンの流入によることを示している。5)電位依存性のチャンネルによるスパイクより、機械刺激によるスパイクの方が大きかった。これはstretch-activated channel自体がスパイク電流を流していることを示唆している。 繰り返しスパイクを出すことは、高等動物の機械刺激受容・伝達の機構に似ていて興味深い。クラミドモナスには単細胞生物と多細胞生物を繋ぐ機械刺激受容の仕組みがあるのかもしれない。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)