Research Abstract |
本研究では,電力用遮断器におけるアーク遮断現象の基礎的解明を目的としている。,次に示すように,アーク遮断直後の残留アークの温度を実測することができた。このような残留アークの温度測定例は極めて少なく,非常に重要な基礎データである。 ・鉄蒸気が高温SF_6ガスに混入した場合において,Fe原子スペクトル線の放射強度の温度依存性を理論的に計算した。この結果,波長426nmおよび443nmのスペクトル線は,放射強度が極めて強いことを明らかにした。しかも,上準位のエネルギーレベルの差が2.6eVと十分に大きいので,それらの放射強度比から精度良く温度を測定できる。 ・SF_6ガス吹付け平板状消弧室において,意図的に電極材料を鉄として,アーク中に鉄蒸気を混入させた。先のスペクトル線を,ノズルスロート部およびその上下流側それぞれ2地点で観測した。いずれの観測位置においても,電流零点から100μsまで観測することができた。この観測には,今回購入したスペクトル観測装置を使用した。 ・2本のスペクトル線の強度比から相対強度法を利用して,残留アークの温度を算出した。電流零点前60μsにおいては,温度はノズルスロート部で極大値5,900Kを示す。その後,この位置の温度は,他の位置の温度よりも急速に低下し続ける。電流零点後100μsには,4,200Kにまで低下し,他の位置の温度よりも低くなることを明らかにした。
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