固体NMR法によるアイオノマーの構造と分子運動に関する研究
Project/Area Number |
06750925
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉水 広明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 固体NMR / エチレンアイオノマー / 結晶 / イオン会合体 / 分子運動 / スピン-格子緩和時間 |
Research Abstract |
本研究ではエチレンアイオノマー(エチレン-メタクリル酸共重合体を金属イオンで中和したもの)の有するイオン会合体およびエチレンマトリクスの形成する結晶が熱処理によりどのように変化するかを固体NMR法を用いて検討した。エチレンアイオノマーの^<13>C CP/MAS NMRスペクトルには、31ppm及び33ppm付近にメチレン炭素由来の大きなピークが、15ppm及び47ppm、185ppm付近にメチル炭素及び四級炭素、カルボニル炭素由来の小さなピークがそれぞれ観測された。2本のエチレン炭素ピークは、ポリエチレンのデータを参考にして、低磁場側を結晶部に高磁場側を非結晶部にそれぞれ帰属した。それぞれのスピン-格子緩和時間を見ると、結晶部のそれは高密度ポリエチレンで報告されている値よりも非常に短かった。従ってその運動性は比較的高いと言えた。定量性のよいDD/MAS法にて得たスペクトルより結晶化度を見積もったところ、イオン化合体の存在する試料の方がその値は低かった。また、90℃程度までは結晶化度はほとんど変わらなかったが、100℃から室温に戻すとその値は減少する傾向にあった。これらの結果は、DSC測定から得られた結論(エチレンアイオノマーには、溶融状態からの冷却過程で生成する結晶(1次結晶)と冷却後室温で生成する結晶(2次結晶)という、生成過程の異なる2種類の結晶が存在すること及び2次結晶の量はイオン会合体の存在と相関があること)と一致するものである。一方、イオン会合体に関与しているメタクリル酸は、関与していないそれよりも運動性が束縛される傾向にあることを明かにした。カルボニルのピークは80℃以上で24h保持した後に室温に戻すと徐冷急冷を問わず、その線形が変化した。80℃以下の温度や熱処理時間が10数時間以下の場合カルボニル炭素のスペクトル線形の変化が異なる挙動を示したことから、80℃以上の高温の処理により10数時間以内に変化し始め、さらに10数時間の間に会合体は室温においても回復しない形状へと変化することがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)