Research Abstract |
1991年産ののコシヒカリ玄米を供試し,15〜40℃の温度範囲において相対湿度95%の湿り空気中およびまき床中で培養調質実験を行い,米粉の糊化特性および遊離アミノ酸含有量の変化を反応速度論的および組織学的調べた。得られた結果は次のとおりである。 1.湿り空気中よりまき床中で玄米に対する培養調質の効果が高かった。 2.まき床培養過程では玄米中の酵素が付活された。これらの酵素反応により,アミロプラストの外膜が破れ,澱粉粒が分解され液状になった。培養調質玄米の米粉は異なる糊化特性をもっており,その粘度が培養時間によって増加と減少の二段階で変化した。また,一次反応モデルを用いてシミュレーションを行った結果,米粉の糊化過程はアレニウス方程式で表されることが明らかになった。 3.15,30および40℃のまき床培養調質により玄米中の遊離アミノ酸総量は23.05×10^<-3> %からそれぞれ31.18×10^<-3> %,54.79×10^<-3> %および40.75×10^<-3> %まで増加した。遊離アミノ酸の生成は蛋白質の分解に由来し,その過程は一次反応モデルで近似できた。各遊離アミノ酸成分の生成速度は温度によって異なった。 適切な培養調質は古米食味の改善,健康食品および機能性食品の開発に役立つものと考えられる。これらの研究成果は日本食品科学工学会誌に投稿中である。
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