糖鎖を認識する白血球接着分子L-セレクチンの新しいリガンドの同定
Project/Area Number |
06770253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川島 博人 大阪大学, 医学部, 助手 (50260336)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 接着分子 / L-セレクチン / リンパ球ホ-ミング |
Research Abstract |
生体内におけるリンパ球のホ-ミング現象は免疫系が秩序正しく機能を発揮するために必須の役割をしており、その特異性の少なくとも一部は白血球上の接着分子L-セレクチン(LECAM-1)が血管内皮細胞上の特定のリガンド分子と結合することにより担われる。私はラットL-セレクチンの細胞外ドメインとヒトIgG_1の定常領域ドメインを遺伝子操作によってつないだキメラ分子(LEC-IgG)をプローブとしてラットリンパ節におけるリガンドの解析を行った。 はじめに、リンパ節の組織片のNP-40による可溶化物をWGA-カラムおよびLEC-IgG-カラムに順次かけ精製を進めた。得られた精製画分のSDS-PAGEの結果、160 kDaにほぼ単一なバンドが認められた。約100mgの精製の出発材料から2mgの精製標品が得られた。この分子はその分子量からこれまでに報告のない新たなL-セレクチンのリガンドであるものと考えられた。 次に、この160kDaのリガンド分子をNa^<125>Iにより標識した後にL-セレクチンとの反応性を検討した。その結果、^<125>I-標識物はヒトIgG-ビーズには反応せずLEC-IgG-ビーズにのみ反応することよりL-セレクチンに特異的に結合するものと考えられた。また、EDTAおよびL-セレクチンのレクチンドメインに反応する中和抗体HRL1およびHRL3存在下においてL-セレクチンとの反応が阻害されることよりL-セレクチンのレクチンドメインを介して認識されるもの考えられた。非中和抗体HRL2およびHRL4はこのリガンド分子とL-セレクチンとの結合に影響を及ぼさなかった。また、L-セレクチンに結合することの知られているfucoi danやPPMEなどの多糖やsulfatideもこの分子のL-セレクチンとの結合を阻害した。また、このリガンド分子に糖鎖修飾を施した後にL-セレクチンとの反応性を検討したところ、N-グリカナーゼ消化ではわずかに反応性が弱くなるもののほとんど影響しなかったがO-結合型、N-結合型いずれの糖鎖をも切り出すことの知られているTFMS処理により、L-セレクチンとの反応性は完全に消失した。このことより、この分子上のO-結合型糖鎖がL-セレクチンとの結合に重要であるものと考えられた。 今後この160kDaのリガンド分子の大量精製を行い、部分アミノ酸配列の決定およびcDNAクローニングを行いたいと考えている。
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Report
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Research Products
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