Project/Area Number |
06770766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本田 教一 福島県立医科大学, 医学部・神経精神科, 助手 (50260782)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 非定型抗精神病薬 / 5HT_2受容体 / GTP結合蛋白質(G蛋白質) / 細胞内2次情報伝達系 / PI代謝回転 |
Research Abstract |
非定型抗精神病薬(aAPDs)は、抗D_2作用に比して相対的に強い抗5HT_2作用を有しており、この薬理学的特性と陰性症状の改善作用や錐体外路系副作用の出現頻度の低さとの関連が推測されている。aAPDsの5HT_2受容体機能に及ぼす薬理作用の検討はこれまで受容体レベルにとどまり、2次情報伝達系に対する作用は十分には知られていない。従って、受容体から、それに共役する細胞内情報伝達系までの一連の伝達機構の変化として検討することが必要となる。そこで我々は、aAPDs慢性投与時の中枢性5HT_2受容体機能に及ぼす影響を知るために、aAPDsであるclozapine、mosapramine hydrochlorideと定型抗精神病薬、haloperidolとをWistar系雄性ラットに慢性投与後に、前頭皮質及び、海馬を摘出して以下の指標の検討を計画した。(1)5HT_2受容体の結合能、(2)5HT_2受容体と共役するイノシトールリン脂質(PI)代謝回転、(3)Immunoblotting法、及び、〔^<32>P〕AAGTP結合実験によるG蛋白質の量と機能の評価、(4)セロトニン刺激性細胞内遊離カルシウム濃度の測定 現在までに(1)、(2)の検討が終了した。その結果、aAPDs慢性投与後には、前頭皮質、海馬において、5HT_2受容体のdown regulationと細胞内2次情報伝達系の亢進が生じていることが判明した。すなわち、aAPDs慢性投与時には5HT_2受容体機能は全体としての亢進していると考えられるが、5HT_2受容体数と細胞内2次情報伝達機能の変化の方向が一致しないという結果を得た。この解離については5HT_2受容体に共役するG蛋白質の量の増加及び機能の亢進、ひいてはaAPDsのG蛋白質への直接作用という可能性も推測される。そこで、(3)の予備的実験として、G蛋白質の活性化を介してPI代謝を亢進させるNaF刺激を用いaAPDs慢性投与時のG蛋白質機能を調べたところでは有意なG蛋白質機能の変化は認めなかった。現在のところこれらの結果についての整合性のある解釈は困難と言えよう。しかし、今後、より詳細に(3)、(4)を実施していく中で、aAPDsの5HT_2受容体機能へ作用が、受容体、G蛋白質、2次情報伝達物質、細胞機能と関連するカルシウム遊離までの一連の情報伝達機構の変化として包括的に解明され、非定型抗精神病薬の奏功機序やそれを通した精神分裂病の病態機序の解明、さらには、陰性症状の改善をめざした抗精神病薬の開発に役立つものと考えている。
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