Research Abstract |
1.血小板のモデル細胞系としてホルボールエステルにより分化誘導させたヒト巨核球系培養細胞MEG-01を用いて、各種G蛋白質などシグナル分子の分化誘導に伴う変動・分泌応答への関与について検討した。 1)PMA処理により分化させたMEG-01細胞を用いてトロンビン刺激し、血小板α顆粒内蛋白質であるβ-トロンボグロブリンの産生・分泌を調べたが、著明な分泌亢進は認められなかった。 2)MEG-01細胞は、三量体型G蛋白質、Gs,Gi_2,Gi_3,Gz,G_<11>G_<12>のαサブユニットおよびβサブユニットが蛋白質レベルで検出された。MEG-01細胞のPMAによる分化誘導により、三量体型G蛋白質のGi_2α,Gi_3αおよびGβが日のオーダーで漸増したが、他のものはほとんど変化しなかった。一方、低分子量G蛋白質のRac2は、PMA処理後30分から著明に増加した。 3)PMA処理したMEG-01細胞から出現する血小板様顆粒を収集し、その低分子量G蛋白質のmRNAおよび蛋白質レベルでの発現を検討した。rap1A,rap1B,rap2B,ralA,rhoA,rac1,rac2,CDC42Hs,rab1,rab3B,rab4,rab6,ramおよびranについてRT-PCRを行ったところ、rab4以外のすべてのDNAの増幅を認めた。また、Rap1,RhoA,Rac,CDC42,Rab6,Rab8について蛋白質レベルでの発現が確認された。 4)MEG-01細胞においてPKC-γ以外のPKCα,-βI,-βII,-δ,-ε,-η,-θおよび-ζの発現を認めたが、顆粒中にはPKC-γおよび-ζタイプが検出されなかった。蛋白質レベルで血小板に検出されるサブタイプはPKCα,-βI,-βIIおよび-ζであるが、顆粒中には量的に少ないがいずれも発現していた。MEG-01細胞では、上記4種に加えてPKC-εおよび-θが検出された。 2.ラット唾液腺細胞の細胞分画により低分子量型Rap1pが顆粒膜に、三量体型G蛋白質Gtは形質膜に局在することが明らかとなった。
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