流体現象を伴う反応拡散波(ビッグウェーブ)のソリトン的挙動に関する研究
Project/Area Number |
06835016
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
非線形科学
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三池 秀敏 山口大学, 工学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 反応拡散波 / ビッグウェーブ / ソリトン / BZ反応 / 動画像処理 / 流体現象 |
Research Abstract |
Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応は、振動的な酸化還元反応として知られる。非攪拌のバッチリアクターでは、化学反応波の伝搬に伴う動的な空間パターン(スパイラルパターンや標的状パターン)が観測され、非平衡に特有な散逸構造が形成される現象として注目されている。研究代表者のグループでは、1)化学反応波に伴い伝搬する対流の存在、2)スパイラル波が発達したBZ反応溶液中に発生する振動的な流れ、3)大きな流体現象を伴いながら加速的に伝搬するビッグウェーブの存在、等を明らかにして来た。これらは、化学反応波自体が流体現象を誘起し、反応波と流れとに非線形結合によりパターンダイナミックスが発生することを示唆しているが、そのメカニズムは解明されていない。 本研究では、励起の仕方により加速的に伝搬し大きな流体現象を伴うビッグウェーブと、一定速度で伝搬する通常のトリガ波の2種類の化学反応波の発生メカニズムの違いを明らかにすることを目的とした。研究目的達成のため、独自に開発を進めて来たレーザ光照明を用いた顕微鏡画像の動画像処理による速度計測法、倒立顕微鏡と光学干渉フィルタを用いた2次元スペクトル測光法、及びマッハツェンダー干渉計を用いた溶液界面の微少変形計測法等を導入し、BZ反応に伴う化学活性と流体現象を定量的に観測した。また、オレゴネータモデルによる反応拡散波のシミュレーションを併せて行なった。 研究により得られた主な知見は、1)ビッグウェーブ発生時の誘起された流れの垂直速度分布の計測から、溶液界面での流れが強く、現象が界面に強く支配されていること、2)ビッグウェーブの発生に、用いる化学薬品の純度、純水の質の高さ、容器の清浄度等が大きく影響すること、3)ビッグウェーブに伴う流体現象の大きさと、反応波波頭での界面の変形の程度の相関が強いこと、4)長周期の振動反応系におけるトリガ波の発生としてモデル化した反応拡散波のシュミュレーションの範囲では、加速的な伝搬が再現できないこと、5)等価的に、拡散定数を時間と伴に増大させることで、ビッグウェーブの特徴の一つである加速的な伝搬が確認できたこと等である。 これから、ビッグウェーブ発生のメカニズムとしては、化学反応波の波頭での反応物質濃度や温度の不均一に起因する、マランゴニ-不安定性が有力であることが結論付けられる。反応拡散の範囲でのシミュレーションの知見(拡散定数の時間増大)は、流れの発生に伴う化学反応波の波頭の変形、波頭での曲率の効果による伝搬波の加速の可能性を示唆している。今後、シミュレーションの2次元への拡張、マランゴニ-効果を組み込んだ現象のモデル化を進める必要がある。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)