Project/Area Number |
06851047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
考古学(含先史学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 京都大学, 文学部, 助手 (70252400)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 弥生時代中期 / 土器文様 / 櫛描文 / 施文原体復元 / 観察的研究 / 実験的研究 |
Research Abstract |
萌芽的研究として提出した当該研究課題は、(1)観察的方法、(2)実験的方法、の2段階の研究遂行を企図していた。うち本年度は、時間的制約により観察的方法と、関連する文献資料収集、データ整理の実施にとどまった。 具体的には、観察的方法としては、中部地方の東部(長野・埼玉県域)を中心とした中期弥生土器の櫛描文様の観察・記録作業を集中的に行った。これは、この地域が、東西日本の弥生文化の接触地域として、西日本弥生土器の象徴的文様である櫛描文様が受容されていく過程が、すなわち東日本への弥生文化の伝播を反映されていることが十分に予想されることと、単純で斉一的な西日本の櫛描文様に較べて、こうした周縁地域でのそれはかなりの退化と変容を遂げた多様な形状をとっており、文様としての性格や技術基盤を考察する上でより適当な地域と判断されるからである。観察結果は、文様モチーフの計量的分析も含めて実施し、現段階では原体構造の推定復元には至っていないが、目下その結果は集計・分析中であり、以後も追加調査を実施予定である。 上記以外には、文様施文原体の復元研究にかかわる方法論の構築のために、時代・地域を問わず関連研究の文献資料の収集を実施したほか、良好な分析資料を把握すべく、中期弥生土器に関する出土資料報告類の収集も実施した。関連研究の検討からは、特に西アジア新石器時代の土器施文具に関する具体的な研究事例を多く把握することができ、弥生土器の施文原体の形状や施文技術の復元について極めて有効な参考事例となることが知られた。こうした出土資料に基づいた施文具の検討は、近年低湿地遺跡における有機物の遺存からわが国でも施文具の可能性のある木片などの出土品がわずかながら知られるようになってきており、文様の観察に加えて、こうした遺物の検討も、本研究には必須であると認識されるに至った。
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