Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
動物園と協働することにより,多種多様な希少野生動物における繁殖生理を非侵襲的にモニタリングする内分泌学的手法を確立し,繁殖特性を明らかにした。動物園(生息域外)での研究において確立した本手法および繁殖生理に関する成果を,生息域内での調査研究へ応用し実践することも試みた。 1.各種動物園動物の糞中プロジェスチンの動態と繁殖関連行動および外見的兆候を継続的にモニタリングした。本年度から新たに加えた種を含め,偶蹄目ウシ科,キリン科およびマメジカ科,奇蹄目サイ科,バク科およびウマ科,長鼻目ゾウ科,食肉目ネコ科,イヌ科,クマ科およびアライグマ科,霊長目ヒト科,異節目アリクイ科およびアルマジロ科,双前歯目コアラ科およびウォンバット科の各分類群の多くの希少種において糞中プロジェスチン測定法の有効性を検証した。 2,高速液体クロマトグラフィーとエンザイムイムノアッセイ法を組み合わせた方法により,糞中にはプロジェステロンではなく,多くが5α-または5β-プレグナンに還元され排泄されている可能性が示された。 3.糞中エストロジェンの測定は,インドサイなど一部の種において卵胞活動の指標となり,キリンでは出産期の予測に利用可能であることが明らかとなった。アフリカゾウでは,本測定法は有効ではなかったが,尿中エストロジェン抱合体(エストラジオール-グルクロニド)の測定により卵胞活動や発情期のモニタリングが可能となった。すなわち,体内の性ステロイドホルモンは,動物種やホルモンの種類により糞あるいは尿経由の異なる経路により排泄されているものと推察された。 4.飼育下個体から得られた繁殖生理に関する知見を基に,ロシア極東のアムールトラおよびアムールヒョウの野生個体の糞を用いてプロジェスチンの測定を行い,繁殖状況や繁殖生態を調査する試みを開始した。また,国内希少野生動物であるツシマヤマネコの繁殖生理学的調査も開始した。
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