Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
最近の研究で,胚発生において重要な役割をしているヘッジホックシグナル(Hh)伝達経路が,種々の癌細胞で異常亢進し,腫瘍の発生や拡大に寄与しているとの報告がされた.これら癌細胞では,Hhシグナル伝達経路を遮断することが有効な治療法の一つとして考えられており,本研究では,Hhシグナルの最下流に位置する転写因子GLIによる転写活性を阻害する化合物を,天然資源より得,新たなタイプのHh阻害剤を提案することにした. まず,目的にあったアッセイ系を,細胞を用いたレポーターアッセイを基本にして構築した.ヒト正常皮膚細胞(HaCaT細胞)に標的である転写因子GLI1を過剰に発現させ,GLI binding siteを有するレポータープラスミドでその転写活性を,ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応による発光量で測定するシステムである.構築したアッセイ系において,スクリーニングの最適条件を検討し,スクリーニングのプロトコルを作成した. 作成したスクリーニングシステムにて,研究室保有の天然物ライブラリーをスクリーニングしたところ,zerumbone (1), zerumbone epoxide (2), staurosporinone (3), 6-hydroxystaurosporinone (4), arcyriaflavin C (5), 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A (6)を同定した.また,天然資源(植物,放線菌,生薬等)をスクリーニングした結果,Physalis minimaのメタノール抽出物にGLI1転写阻害活性を見出し,P. minimaよりphysalin F(7)およびB(8)を活性化合物として単離した. 構築したアッセイ系で同定した化合物の中で,1,3,7および8について,Hhシグナル伝達経路の異常亢進が原因で増殖が認められている膵臓癌細胞株(PANC1)およびヒト前立腺癌細胞株(DU145)におけるHhシグナルに関与する遺伝子発現を確認した.その結果,構築したアッセイ系で同定した化合物は,PANC1およびDU145細胞に対して,細胞毒性を示し,これら細胞株で,Hhシグナルに関与する遺伝子(Ptch, Bc12等)の発現を抑制することが判明し,天然資源よりGLI転写阻害活性化合物の同定に成功した.
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