ブータンの自然国立公園における「環境保全」をめぐる文化と政治に関する人類学的研究
Project/Area Number |
06J02460
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 万里 Kyoto University, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ブータン / 国際情報交換 / 地域研究 / 政治人類学 / 環境社会学 / 環境政治 / 国民形成 / エージェンシー / 南アジア / 環境保全 / 自然国立公園 / ネイション形成 |
Research Abstract |
本年度の研究においては、ブータン国内の自然国立公園でこれまで実施してきたフィールドワークから得られた情報を整理し、環境政治という分析視角から国民国家の統治の制度と「自然環境保護」をめぐる価値の競合過程とを連関的に捉え、人類学的な視点から現代ブータン研究とネーション論に理論的な貢献をすることを大きな目的とした。現代社会においてグローバルに価値づけられた「自然環境保護」は、しばしば普遍的で絶対的な価値として認識され、多くの開発途上諸国に導入されてきた。しかしながら、自らの知恵や土着の技術をとおして地域の自然生態と密接な共生関係を築いてきた多くの農牧民たちにとって、グローバルな環境保護の理念や技術や制度の導入はそうした従来の関係を破壊し、切り離すものとして働いている。現代ブータンの村落社会では、様々な経済開発政策や森林政策そして国民統合政策が「自然環境保護」の名の下に導入されてきた。そのなかで、人々は多様な実践と解釈とによって自らの生活世界を維持し、価値ある生を見出そうともがいている。私の研究では、環境保護や自然資源管理という特定の権力関係を内包した知識と言説の装置が、個々の制度やスキームをとおして個人を確実に拘束し統治していくプロセスを描き出す一方で、個人が多様な社会関係とネットワークを利用して日常的な実践のなかでそれらの制度や秩序を改変していく様を動態的に記述し、ブータン研究で従来全く注目されてこなかった農耕牧畜社会の人々による統治性のなかのエイジェンシーの発露を浮き彫りにした。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)