Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
「海洋の鉛直混合過程が細菌群集の時空間動態と炭素循環に与える影響を予測するための数理モデルの構築」海洋においては海洋の混合などの物理過程と生物生産・分解などの生物過程とが複雑に絡み合って生態系が維持されている。これまでの研究で、物理過程が有機物の生産過程およびそれを担う生物群集に与える影響については十分に理解が進んできた一方で、物理過程が有機物の分解過程およびそれを担う生物群集に与える影響については十分な理解が進んでこなかった。そこで、海洋の表層と深層からなる2層モデルを構築し、水の鉛直混合が細菌群集の動態と炭素の鉛直輸送に与える影響を調べた。その結果、第一に、表層から深層へと粒子サイズの大きな有機物(懸濁態有機物)が沈降することよって、表層と深層で異なる細菌群集構造が実現することがわかった。特に懸濁態有機物を効果的に分解する細菌グループは深層で卓越するというこれまでの実証研究を支持する予測が得られた。第二に、海水の鉛直混合は、この空間的に不均一な群集構造を変化させる要因であることがわかった。すなわち、鉛直混合によって、懸濁態有機物を分解するグループが海洋表層でも卓越しやすくなることがわかった。これにより、一時生産の季節変動によって懸濁態有機物の供給量に時間的変化が見られる環境では、鉛直混合によって深層から細菌が表層に供給され、それが群集組成の変化を促進して、海洋表層での有機物の無機化効率を上げることがわかった。この研究は昨年度に引き続き米国・プリンストン大学の数理生物学グループとの共同研究として遂行され、その成果は国際誌に投稿中である。
All 2008 2007 2006
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (3 results)
Marine Ecology Progress Series (印刷中)
日本微生物生態学会 (印刷中)
110006873831
Freshwater Biology 53
Pages: 1142-1153
日本生態学会誌 56
Pages: 240-251
110004862686