量子揺らぎによって誘起された動的ナノドメイン構造のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
06J02663
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 泰裕 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 光誘起誘電効果 / 量子常誘電体 / 強誘電体 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、量子常誘電体であるSrTiO3(STO)と、それにCaを不純物としてドープしたリラクサー強誘電体Sr1-xCaxTiO3(SCT)についての特に光励起下で現れるドメイン構造についての研究を行った。それまでSTOで知られていた低周波のDebye型誘電分散が強誘電体であるSCTでも観測されることを見出し、Debye型誘電分散の起源について検討を行った。これまでは光励起によって生じたダイポールの作る強誘電ドメインがDebye型誘電分散をもたらしているという仮説が提唱されていたが、このモデルはすでに報告していたSCTにおける光誘起誘電効果を再現しないことを示した。我々は詳細な温度依存性や励起光強度依存性の検討から、光励起によって高伝導度のドメインが結晶中に部分的に生成することで、全系の誘電応答にDebye型誘電分散が現れることを明らかにした。これによって、SCTでの光誘起Debye型誘電分散と転移温度の低下が矛盾なく説明できる。高伝導度のドメイン構造の起源は未だ不明だが、Debye型誘電分散の振動子強度が試料の質に強く依存していることから、不純物や欠陥に由来した試料の不均一性に起因するものであると考えている。以上の結果を纏めてJournal of the Physical Society of Japan誌に発表した。また、STOの光励起状態を明らかにするために酸素欠陥を導入したSrTiO3を作成し、これを光学測定によって評価した。その結果酸素欠陥は新たな発光の始状態を作ることが分かり、nominally pure STOに見られる強い緑色発光は一部に提唱されているような酸素欠陥を起源とするものではないことを明らかにした。このことは近日中に論文にまとめ投稿する予定である。また、以上のことを学位論文に纏め、学位を取得した。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)