Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,酸化物系における状態図と原子配列を実験的情報に頼ることなしに理論予測する一般的手法を確立することを目指して,第一原理電子論計算の結果を統計力学手法で処理する手法を開発することを目的としている. 幾つかの代表的な酸化物擬2元系および不定比性酸化物において,その手法の有効性を実証した.まずスピネル型構造を有する複合酸化物を対象に,基底状態での構造と規則不規則転移を定量的に調べた.多くの複合酸化物において,その基底状態の原子配列は未知であったが,本研究で開発した手法を適用することにより,系統的な基底状態の探索が可能となった.また有限温度での計算を行うことにより,スピネル複合酸化物における規則不規則転移が確認された.基底状態で正スピネル構造を有する化合物においては,これまでにも知られている四配位陽イオンと六配位陽イオン問の相転移が再現された.また基底状態で逆スピネル構造を有する化合物において,四配位陽イオンと六配位陽イオン間の規則不規則転移に加えて,より低温において六配位陽イオン間での規則不規則転移が生じることを発見した.さらに不定比化合物のモデルとしてSnO_Xを選択し,基底状態の構造と相安定性を調べた.Sn-O_系ではSnO_Xで表される不定比化合物が存在するが,その詳細な構造は明らかではなかった.本研究で開発した手法を適用することにより,Sn_2O_3とSn_3O_4は安定構造であることを明らかにした.さらに電子状態を解析し,これらの構造はSnOにおいて見られるlone pairを持っていることを明らかにした.
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