構造制御されたサブミクロン磁性細線における単一磁壁のラチェット効果
Project/Area Number |
06J03026
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
姫野 敦史 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 磁壁 / 電流駆動 / ラチェット |
Research Abstract |
非対称周期構造をもつサブミクロン磁性細線におけるスピントランスファー効果による磁壁の電流駆動現象について調べた。試料は電子線リソグラフィーとリフトオフ法によって作製し、磁気力顕微鏡(MFM)を用いて磁性細線中の磁壁を直接観察した。 本研究から、磁性細線中の非対称構造から磁壁が電流駆動によってデピニングするために必要なしきい電流密度が磁壁の伝搬方向によって異なることが明らかになった。さらに、非対称構造からの磁壁のデピニングをアシストする外部磁場を印加した場合に、磁壁が電流駆動するために必要なしきい電流密度がどのように変化するかについて調べた。アシスト磁場はNiFe細線の長軸方向で、磁壁をデピニングさせたい向きに印加した。磁壁を非対称構造から電流駆動させた場合、アシスト磁場の増加とともにしきい電流密度が低減することが分かった。また、アシスト磁場を18Oe以上印加することで、ゼロ磁場下では磁壁が駆動しなかった方向にも磁壁を電流駆動させることができた。そして、磁壁を左方向、または右方向にデピニングさせる場合で、しきい電流密度のアシスト磁場依存性の傾きが異なる。このことから、電流駆動と磁場駆動を組み合わせることによっても、非対称構造によるピニング・ポテンシャルの非対称性を示す実験的に見出すことができた。したがって、磁壁の電流駆動においても磁壁ラチェット効果が発現することを結論付けることができた。 また、この系についてLandau-Lifshitz-Gilbert方程式に基づくマイクロマグネティクス計算を行い、実験結果との対応や、磁壁ラチェット効果発現のメカニズムのモデル化を試みた。計算結果から、磁性細線中の非対称構造が磁壁の磁場駆動また電流駆動において非対称ポテンシャル障壁として働くことが明らかになった。また、磁壁の動的挙動シミュレーションから、磁壁ラチェットは磁性細線中に作り込んだ非対称ポテンシャル構造と磁壁内部の渦中心の細線軸と直交する方向へのわずかに変位によって生じる非平衡ポテンシャルによって発現する効果であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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