Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,従来より研究を進めていたポリグルタミンタンパク質のように変異によって凝集体を形成し,神経細胞死を招くと考えられている変異型SOD1タンパク質の凝集体形成について主に解析を行った.SOD1タンパク質は,難病指定された神経変性疾患の一つである家族性筋萎縮性側索硬化症(fALS)の原因遺伝子である.最初に,プロテアソーム阻害剤であるMG-132処理により,変異型SOD1では,核近傍に,ユビキチン化されたタンパク質や分子シャペロンなどが集積したアグレソーム様の凝集体構造を形成していることを明らかにした.さらに,MG-132処理によって形成された凝集体構造は,プロテアソームの活性回復に伴い,消失することを見出した.この消失過程を詳細に解析した結果,一度形成された凝集体を解きほぐす脱凝集機構が関与していることが示唆された.また,凝集過程よりも脱凝集過程における細胞死の頻度が高いことから,脱凝集過程において発生する分子の構造もしくは多量体化状態が毒性を発揮する可能性があると考え,蛍光相関分光法による分子サイズの解析より,脱凝集過程において,可溶性のオリゴマーはすみやかに消失することから,毒性を発揮するのは,大きな多量体ではなく,低分子で構造の転移したものではないかという仮説提唱に至った.これらの結果は,昨年度公開した研究成果のようなポリグルタミンタンパク質で得られた知見とは異なり,SOD1の場合は,多量体化したオリゴマーが毒性を発揮するのではなく,低分子であっても毒性を発揮しうる状態があるのではないかと考えられる. 続いて,細胞質シャペロニンCCTと弱い相同性を持つタンパク質であるMKKSPについても解析を行った.MKKSPは中心体に豊富に局在していることが,これまでの解析から明らかにされていたが,今年度の研究では,MKKSPが中心体と細胞質の間をすみやかに移動しているが,少ない割合の成分は中心体に滞留し,何かしらの機能を発現していることが示唆された.
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