擬二次元三角格子反強磁性体における量子臨界現象としての非従来型スピン状態
Project/Area Number |
06J03191
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南部 雄亮 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / 二次元三角格子反強磁性体 / 不純物効果 / 擬二次元三角格子反強磁性体 |
Research Abstract |
幾何学的フラストレーションと低次元性が引き起こす新奇な状態への興味から、二次元三角格子反強磁性体NiGa_2S_4を研究している。この物質では80Kの反強磁性的相互作用にもかかわらず、少なくとも0.08Kまで長距離秩序が存在しない。しかし、共鳴実験からは8.5Kでスピン凍結が起きていることが明らかになっている。低温での核磁気緩和率、比熱からは二次元系における反強磁性体マグノン的な振る舞いが示唆されており、このような短距離相関を持つ磁気状態においてマグノン的な励起が発達できうるのかが非常に興味深い。 今年度は以下のような研究を行った。 (1)単結晶試料を用いた磁化率、比熱の実験結果から、NiGa_2S_4で見られるスピン波的な励起状態が整数のHeisenbergスピンでのみ保持される可能性を突き止めた。これにより、低温では何らかの量子的効果が働いている可能性が示唆される。 (2)通常、硫化物は硫黄の含有量によって敏感にその物性が変わることが知られている。NiGa_2S_4について硫黄の仕込み量操作を行い、純良極限の試料を得ることを目指した。また、透過型電子顕微鏡像の観察から、面内では完全性の高い結晶構造が見られるが、c軸方向には積層欠陥構造が存在し、これがNQRで観測されている二つのGaサイトの原因になりうることを指摘した。 (3)スピン凍結に関する種々の共鳴実験の結果からは、8.5Kから3Kまでの温度領域でMHz程度の低周波のスピン揺らぎが存在している可能性が指摘されている。これを直接的に観測するために低周波交流磁化率測定を行い、その証左を得た。また、バルクスピン凍結温度8.5Kでは非線形磁化率が発散を伴わないことから従来型のスピングラスとは異なった凍結機構であることを突き止めた。
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Report
(3 results)
Research Products
(29 results)