Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
低質量中性子星連星系(LMXB)はエクリプスとディップという2つのX線強度減少状態が存在することが分かっているが、その物理的解釈は様々であった。Diaz Trigo et al.(2006)は6個のLMXBを系統的に解析し、ディップは降着円盤コロナ中のプラズマによる吸収で説明できる、と主張した。我々は「すざく」衛星を用いて、アウトバースト状態にあるLMXB、AXJ1745.6-2901のX線分光観測を行った。X線CCDカメラによって得られた高精度スペクトルを解析したところ、4本(ヘリウム状鉄、水素状鉄、ヘリウム状ニッケル、水素状ニッケル)の吸収線を初めて発見した。また、エクリプスの直前のディップ状態を初めて検出し、さらにダストの空間分布をモデル化した上でエクリプス中の放射がダスト散乱によってよく表されることを明らかにした。エクリプス中のスペクトルからは深い中性鉄の吸収端がはっきりと検出された。これはDiaz Trigo et al.(2006)のシナリオでは説明できない。ディップは一般にエクリプスの直前に現れることからもディップ中のスペクトルは降着円盤コロナよりも(冷たい)降着流による吸収である、と考えるべきである。LMXBを含む多くのX線連星系は伴星からの降着によって放射エネルギーを得ている。ディップ中のスペクトルに現れる吸収を用いて降着物質の物理的パラメータを観測的に求めることができるだろう。
All 2009 2008 2007
All Journal Article (13 results) (of which Peer Reviewed: 7 results) Presentation (9 results)
Publications of the Astronomical Society of Japan 61
Pages: 99-106
Pages: 209-218
Publications of the Astronomical Society of Japan 60
Publications of the Astronomical Society of Japan 59
Pages: 245-245
Pages: 237-237
Pages: 221-221
Pages: 199-199
Pages: 269-269
Pages: 229-229