マルハナバチの株訪問頻度や株間移動の方向に影響を与える要因の解明
Project/Area Number |
06J03737
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 崇司 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ポリネーター / 採餌戦略 / 送粉生態学 / 送受粉 / クロマルハナバチ |
Research Abstract |
傾斜がマルハナバチの訪問頻度に与える影響 背景と目的:花数や蜜量といった、送粉者の訪問頻度に影響する要因の解明は、送粉生態分野のもっとも基本的なテーマのひとつである。植物が生える地面の「傾斜」も、訪問頻度に影響するかもしれない。鳥では、水平方向よりも、斜め上や斜め下への移動に時間がかかる例が報告されている(Irschick&Garland 2001)。このことが送粉者にも当てはまるとすると、斜面では時間あたりに訪問できる花の数が減少し、獲得できる餌の量(採餌速度)が減少することになる。結果として、斜面に咲く花は避けられてしまうかもしれない。これらの予測を検証するため、ふたつの実験を行った。 実験内容:両実験とも、網製ケージ内にて人工花とクロマルハナバチの農業用コロニーを持ち込んで行った。人工花は斜面上のどの方向から見ても同じ形に見えるように球形とし、1花を1株として、1.8m四方の板の上に、32cm間隔の格子状に並べた。ひとつめの実験では、クロマルハナバチを巣から1個体ずつ放し、人工花を並べた板の上で採餌させた。途中、人工花を並べた板を水平から垂直まで、5段階の傾斜角(0,22.5,45,67.5,90度)に傾け、ハチの行動をビデオで撮影し、移動速度と採餌速度の測定を行った。ふたつめの実験では、人工花を並べた板を二つ用意し、片方を平面に、片方を斜面(45度もしくは67.5度)にして、同時にハチに提示した。ハチを巣から1個体ずつ放し、それぞれの面での訪花回数を記録し、どちらの花を好んで訪れるのかを調べた。 得られた知見:実験の結果、i)傾斜が急なほど花間の移動に時間がかかること、ii)そのために採餌速度が落ちること、iii)ハチは斜面よりも平面の花を好んで訪花することの3点が明らかになった。これらの結果は、斜面に生える植物が、送粉者の誘引において不利な状況にあることを示している。また、こうした植物が、花弁などの誘引器官への投資をふやすような選択をうけている可能性を示す新たな知見である。なお、以上の結果をまとめた論文は、Functional Ecology誌に受理された。また、2008年8月に米国ミルウォーキーで開催されるアメリカ生態学会でも発表した。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)