Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ファミリーを形成する転写因子は,分子進化上,共通の機能を保持しつつ,独自の機能を持つことで多様性を獲得してきたと考えられる.CNCファミリーの中でNrf2は,小Maf群因子とヘテロ2量体を形成し,抗酸化剤応答配列(ARE)に結合して,生体防御遺伝子群の発現を制御している.Nrf1は,Nrf2と分子的に相同性が高く,共に普遍的な発現を示すことから,Nrf2と重複して標的遺伝子の発現を制御すると考えられている.一方,Nrf2遺伝子破壊マウスは,定常状態において肝障害を示さないのに対し,肝臓特異的Nrf1遺伝子破壊マウスは,NASH(非アルコール性脂肪肝炎)様の症状を呈することから,Nrf1はNrf2とは異なる機能をもつことが考えられてきた.本研究では,Nrf1独自の機能を同定することを目的と,肝臓特異的Nrf1遺伝子破壊(Nrf1 cKO)マウスを作製した.本肝臓を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ,Nrf1 cKOマウス肝臓においてNrf2/ARE依存的遺伝子群の発現が上昇していた.この発現上昇は,Nrf1とNrf2の二重欠損により観察されなくなることから,Nrf2依存的であり,Nrf1欠損細胞では,Nrf2を活性化する内在性のストレスが生じているものと考えられる.一方,Nrf1に依存した遺伝子の中で,制御領域にARE配列を持つことが報告されていたのは,Metallothionein-1,2遺伝子(MT1,2)であった.レポータ解析において,MT1のAREは,Nrf2ではなく,Nrf1によってより強く転写活性化されることが示された.従って,MT1遺伝子は,Nrf1の独自の標的遺伝子であり,Nrf1は,少なくとも一部,Nrf2とは異なる標的遺伝子の制御により,Nrf1特異的な生命現象を支えていることが示唆される.
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