魚類の再生鱗をモデルとした骨石灰化の分子機構の解明:骨再生機構の新展開
Project/Area Number |
06J04520
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 展弘 Hokkaido University, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 鱗 / 再生 / 石灰化 / バイオミネラリゼーション / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
1.昨年に引き続き、鱗から精製した高密度脂質タンパク質(HDL)の石灰化誘導能を解析した。このタンパク質は生理的塩類溶液中で不溶化する。そこで、リンあるいはカルシウムを含む生理的塩類溶液中でHDLを培養した。その結果、どちらかの元素を含む場合にHDLは不溶化したが、両方含まないとHDLは不溶化しなかった。また、鱗のEDTA可溶性画分(HDLを含む)を培養するとさらに多くの不溶物が認められた。次に不溶化したHDLの形態を透過型および走査型電子顕微鏡で観察すると、楕円形の高次構造が認められた。鱗の基質として取り込まれたHDLは高次構造を形成して不溶化すると推察した。また、結晶が形成されているか透過型電子顕微鏡とEDXで観察したが、リン酸カルシウム結晶は認められなかった。鱗の石灰化はHDLのみではなく、複数種の分子により誘導されると推察した。 2.抗家兎抗HDL抗体を作製し、免疫組織学的にHDLの局在を解析した。その結果、HDLは鱗の骨質層に局在した。さらに透過型電子顕微鏡レベルで免疫組織学的に解析すると骨質層の高電子密度物質中に陽性反応が検出された。本研究ではすでに再生鱗の初期結晶形成部位は透過型電子顕微鏡で高電子密度に観察されることを明らかにした。このことからHDLは石灰化を誘導する因子のひとつと推察した。 3.鱗のHDLは血液のそれと比べて分子サイズはほとんど変わらないが、表面電荷が酸性にかたよる。そこで、タンパク質の翻訳後修飾に違いがあるのではないかと考え、それぞれを構成するタンパク質のトリプシン消化ペプチドをMALDI-TOFで比較した。その結果、両方のペプチド断片の質量スペクトルに違いは認められなかった。このことから、タンパク質の翻訳後修飾はおこらず、血液中のHDLは鱗に取り込まれる際、構成する脂質に変化を受け、他の分子とともに不溶化し、鱗の基質として石灰化すると推察した。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)