Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は地球表層システムの進化と変動を解明するために,顕生代史上最も温暖化が進んだ時代の一つである白亜紀"温室期"の陸域気候帯分布および大気循環システムの復元を目的としている.平成20年度はモンゴルの陸成上部白亜系の全層序(Bayanshiree層,Djadokhta層,Barungoyot層,Nemegt層,Dzunmod層)に対して詳細な古地磁気層序を確立することにより,モンゴル上部白亜系陸成層の全層序の統合と詳細な年代層序の確立に成功した.そして堆積相解析による古環境復元の結果を併せることにより,モンゴル地域では湿潤気候下にあった蛇行河川および氾濫原の卓越する環境から,カンパニアン中期頃から極度に乾燥した砂漠環境に変わり,少なくともマストリヒト期中期まで砂漠環境が拡がっていた事を明らかにした. さらにモンゴルの白亜系陸成層の研究を通じて,砂漠堆積物が過去の亜熱帯高圧帯の分布とその変遷を最も直接的に記録していることを見出し,モンゴルだけでなくアジア他地域(タイ北部コラート盆地や中国南部四川盆地)で野外調査および古地磁気層序確立による編年を行い,アジア内陸盆地全体の砂漠堆積物記録を総合的に解析した.その結果,白亜紀前期には砂漠堆積物は中緯度域(中国北部オルドス盆地やタリム盆地など:N30-40°)に分布していたが,白亜紀中期には低緯度域(タイ北部コラート盆地や中国南部四川盆地:N20-30°)に分布域がシフトし,白亜紀後期には再び中緯度域(モンゴル南部ゴビ盆地や中国北部オルドス盆地など:N30-45°)へとシフトしたことが明らかになった.また,古風向パターンから復元される偏西風帯と北東貿易風帯の境界位置(亜熱帯高圧帯の軸部)の分布変動も,砂漠分布から復元される亜熱帯高圧帯の分布変動と調和的な結果を示した.これらの結果から,白亜紀を通じて亜熱帯高圧帯の分布が緯度方向に大きくシフトしていた事が明らかになった.白亜紀における古気候指標堆積物(石炭やボーキサイト,蒸発岩など)のグローバルな分布変遷を見ても,白亜紀中期における亜熱帯高圧帯の低緯度側へのシフトおよび白亜紀後期における同帯の高緯度側へのシフトは北米大陸や南半球でも認められ,全球的な現象である事が示唆された.
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