強レーザー場誘起イオン化の理論的評価法の開発と超高速分子ダイナミクスの実時間追跡
Project/Area Number |
06J05252
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 学 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2006 – 2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 電子ダイナミクス / 分子キラリティー / 芳香族分子 / 環電流 / レーザー制御 / 非断熱ダイナミクス / 国際情報交換 / ドイツ / 最適制御シミュレーション / 強レーザー場 / 分子ダイナミクス / 理論計算 / 光電子スペクトル |
Research Abstract |
アキラル芳香族分子に円偏光レーザーパルスを照射してπ電子の芳香環に沿った回転を誘起できる。このときのπ電子の回転方向は円偏光レーザーの角運動量(偏光軸の回転方向)で一意に決定される。これに対し、採用第1,2年度目において、角運動量を持たない直線偏光レーザーパルスによってキラル芳香族分子のπ電子回転を実現できることを示した。このときのπ電子の回転方向は分子の空間的配置に対する直線偏光レーザーの偏光方向に依存して分子内座標系で決定される。π電子回転が分子の振動周期と同程度の数10fsほど持続すると、π電子回転と分子振動が互いに影響を及ぼし合う可能性がある。そこで、採用第3年度目において、直線偏光レーザーパルスと相互作用するキラル芳香族分子のモデル2,5-dichloropyrazine(DCP)を用いた非断熱核波束動力学シミュレーションを行った。DCPは厳密にはキラルでないが、π電子の感じるポテンシャルが環に沿った回転方向に依存するために直線偏光レーザーパルスによるπ電子回転制御が可能である。DCPは最適構造において点群C_<2h>に属し、光学許容擬縮退^1Bu励起状態を持つ。この^1Bu状態の線形結合がπ電子回転の近似的角運動量固有状態|+>と|->を与える。|+>または|->の一方を支配的に生成すればπ電子は芳香環を回転する。^1Bu状態を結合させる既約表現A_gの基準振動モードである環呼吸振動と環変形振動のモードを自由度とした2次元ポテンシャル曲面上の非断熱核波束動力学シミュレーションにより、分子振動の振幅がπ電子の回転方向に著しく依存することを明らかにした。また、この振幅の違いが断熱ポテンシャル曲面の間の非断熱遷移過程における核波束の干渉効果に起因することを示した。この結果から、フェムト秒スケールの分子振動を分光学的に観測することでアト秒スケールのπ電子の回転方向を特定できると期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)