Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,簡便かつ高効率な径方向偏光(以下,径偏光とする)レーザー光発生手法として,同心円構造のフォトニック結晶ミラーを用いたレーザー共振器からの径偏光ビーム直接発振を新たに試み,単一横モードでの径偏光ビーム発生に成功し,最大で2.7Wの出力が得られた. また,実際に径偏光レーザー光源を用いて光トラッピング実験を実施した.従来の光トラッピングでは,光の偏光状態がもたらす効果についてはほとんど議論されていない.そこで,径偏光ビームを光トラッピングの捕捉ビームとした場合の効果について明らかにするため,トラップ効率の偏光依存性に関して実験的な検証を試みた.粒径が数μm程度のホウ珪酸ガラスおよびポリスチレン粒子について,軸方向トラップカ,および横方向トラップ力測定を行った.これらの測定により,特に鉛直方向に粒子を持ち上げる力となる軸方向トラップ力では,径偏光ビームが最も大きな効率を示す結果が得られた.捕捉ビームが径偏光の場合,粒子表面に入射する全ての光線がp偏光となることに起因し,粒子表面での反射に起因した散乱力が径偏光では最も小さくなるためと考えられる.実際に,幾何光学モデルを用いた軸方向トラップ効率の計算により,本実験結果と一致する数値計算結果が得られており,捕捉ビームの偏光状態に起因したトラップ効率の差異を本研究により初めて実証した.これらの結果は,媒質との相対屈折率がより大きな粒子を対象とした光トラッピングにおいて,径偏光ビームが極めて有効であることを示唆しており,従来法では困難であった半導体等の微粒子に対する径偏光ビームを用いた3次元的な光トラッピングの可能性が十分期待される結果と言える.
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